コラム

● 海外における商標登録のしくみとマドプロの重要性

● グローバルビジネスに不可欠な商標権への意識 ブランドや商品の海外展開が珍しくなくなった今日、商標権の侵害を未然に防ぎ、
その価値を保護する意識を高めることは、グローバルビジネスの常識となっています。
海外進出を検討している企業にとっては特に、模倣品や海賊版への対策として、
世界標準的な効力を持った商標登録の知識を身につけることは大変重要です。
海外での商標権侵害の訴訟として、
「クレヨンしんちゃん」の商標権における海外企業の先取り登録が知られていますが、
日本側の原告勝訴までに多額の費用と長い年数を要したことなどで、多くの教訓を残しました。
先進国は権利意識が高いため、自社製品に少しでも類似していると見なしたものに対しては、
容赦のない警告や訴訟を起こすのが普通です。
発展途上国においては逆に、粗悪な模倣品による商標権の侵害が問題となっています。
本物のブランドが築き上げた信用やイメージを傷つけたり、
不当に利益を得るなどの事例が後を絶たないのが実情です。
世界の大半の国々は、商標登録については「早い者勝ち」、即ち先願主義の制度を原則としています。
つまり、自社ビジネスを守るためには、高い権利意識を持ち、
海外でもできるだけすみやかに商標出願(申請)を行い、商標登録を済ませておくことが肝心なのです。

● メリット大の国際商標登録制度「マドプロ」とは 海外で効力のある商標登録の出願は、各国に対して直接出願する方法の他に、
マドリッド・プロトコル
(マドリッド協定議定書:標章の国際登録に関するマドリッド協定についての議定書、
通称マドプロ)による出願方法があります。
世界95ヵ国が加盟(2015年8月現在)するマドプロ出願では、
弁理士が1つの国際出願(国際商標登録出願)を行うことで、指定した複数国へ出願したことと同じ効果が得られるという、
とても便利な制度です。
直接出願の場合は、各国の弁理士(現地代理人)を介する必要もあり、
その都度経費と手間がかかるなどデメリットがあります。
これに対し、マドプロ出願は審査手続きの迅速化や経費節減効果に加えて、
権利取得後の管理の利便性向上など、出願者の立場から見て利点が多いのが特徴です。
日本からのマドプロ出願は通常、日本の特許庁に出願または登録済みの商標が基礎(基礎出願または基礎登録)となるため、
まずは国内での商標登録を済ませることが前提ですが、
基礎出願との平行出願も可能なマドプロ出願は、
スピーディーなビジネス展開に即応し得る使い勝手の良さが最大のメリットと言えるでしょう。